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第1部 三章【護りのミサト！】その5 第六話 手順から安全牌を探す
Last Updated:
2025-12-06 18:30:0073.
第六話 手順から安全牌を探す
半荘五回勝負1戦目
起家はミサトだ。
「よし、リーチだ」
ノータイムリーチだった。
西家の呉八起（くれやおき）からの先制攻撃。まだ5巡目である。
「さて、お嬢さんのお手並み拝見といこうか」
呉捨て牌
①北六５西（リーチ）
ドラは三
（ふむ、六萬以外は全て手出しなのでヒントとなるのはまず①筒かな。①筒と北の切り順について考えることで見えるものがある）
場全体を眺める。
（変わったことは特にない場で数牌を先に切り出し字牌が後から出る。それはつまり①④北とあったことの可能性の高さを示している。今、呉の手の中には④筒が高確率で使用されていることがここから予想される）
最終手出しを見てさらに考える。
（最終手出しは宣言牌に使った西。西は2巡目に私が、3巡目に南家がそれぞれ1枚捨てており非常に安全性の高い牌だ。つまり安牌抱えたイーシャンテンを作り、そこからのリーチだと予想出来る。それは要するに高確率でリャンメン待ちだという事だ。例えばこう……）
予想
一一一二二四伍六④⑤赤５５６
（場に二萬は1枚放たれててドラ表示牌も二萬だ。ここにツモ西ときたら打５とするだろうな。そして今引いた牌でテンパイして打西でリーチ。ピンズが埋まってれば５索の周辺が本命でしょ。なんにしても……）
ミサト選択
打⑦！
「何っ?!」
（これは通る！ なんでかってリャンメン待ちだろうと予想出来るから。呉は最終手出しの安全な字牌切りからリャンメン待ちの可能性が高くなっている。
それを踏まえて、数牌を先に切り出して字牌が後から出たという2巡目の情報で④筒があるだろうと読めるのであれば、もう既に持っている牌のスジは安全牌の可能性が非常に高い。
まあ、高め一盃口とかのテンパイになった可能性は捨てきれないけどね。（④⑤⑤⑥⑥）ただ、そんなこと言ってたら何も切れない。私は私の読みを信じるのみだ。ノータイムであることを考えると呉の待ちの本命は５索の跨ぎが一番怪しい！）
呉手牌
二二四伍六③④⑤赤５６９９９
ズバリだった。
（くそ、アガれねえな）
呉はツモれずにいた。仲間たちも初戦の東1局からわざわざ呉へ差し込もうとはしなかった。勝った分は貰えるし、千点1万円のレートでそんな献身的になる気もしなかった。それに何より、自分たちがまさか女1人に負けるとは考えていないのだ。呉の仲間だってただの素人ではない。呉が頼りにするくらいには腕に覚えのある打ち手だ。
するとミサトの手が整ってきてついに運命の12巡目。
東1局12巡目
ミサト手牌
三三八八②②⑧⑧３４４６７ ３ツモ
（テンパイだ！ タンヤオチートイドラドラ。リーチで跳満確定の勝負手！ だけど、これ……）
そう、これは打６索か打７索の選択だ。そのどちらも呉の本命であり、そう読んだから止めていた牌だった。
（そのどちらかを今さら…… 切る？）
指先が汗ばむ。
（落ち着け…… ここで作り直すという選択はない。押すべきなんだ。怯むな。負けるな。自分に負けるな！ おまえは超一流プロの井川ミサトだろう。最強クラスのプロ雀士がこんな事で……）
「リーチ」
（こんな事で臆してられるか!!）
打６
「ツモ！」
ミサト手牌
三三八八②②⑧⑧３３４４７ ７ツモ（一発）
「8000オールの1枚!!」
井川ミサト渾身の一撃が開局早々に炸裂した！
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